火曜ドラマ「重版出来!」が面白い。(全話感想追記済み)
2016年春開始ドラマで唯一見ています。すだまです。
舞台は、週刊コミック誌の編集部。
何者でもない人が「漫画家」になる。その才能を支える編集者たち。
彼らは、「一冊の漫画」という夢のために、ひたむきに全力で仕事に取り組んでいた。ひとつの「漫画」が人生を変えるんだ。それを多くの人に届けたい… その「漫画」を重版出来させたい…重版出来(じゅうはんしゅったい)・・・それは、初版と同じ版を使い、同じ判型、装丁にて刷りなおすこと。つまり、売れた漫画ということ。そこに足を踏み入れたのは、新米編集者・黒沢心。
「今の自分が、心から熱くなれる場所は、ここしかないと思いました!」
まっすぐな彼女の人間力と持ち前の勘は、やがて皆を動かしていく。
いやもう、何より黒木華さん演じる主人公の黒沢心ちゃんがめちゃくちゃかわいいんです。柔道一筋で元日本代表候補で、一度挫折したはずなのにそんなことを感じさせないくらい元気いっぱい。
だけど単なるご都合お気楽展開じゃなくて、すごく現実的で、でもそこに生きている人たちはいい人であろうとして、がんばろうと、立派になろうとしている。一歩一歩進もうとしている。すごく、すごくいいなあ、って、毎週見ながらしみじみ思っています。
確かにお話は続いていますが、割と1話完結の要素も強いので、今から見ても十分楽しめるのではないかなあ、なんて思います。
本が好きな人、漫画が好きな人、何かを作っている人、お仕事がんばっている人、何か目標に向かってがんばっている人、目標に向かってがんばりたい人、自分が何をしていいのかわからない人。そんな人に、おすすめしたいです。
って、不特定多数の人に自分の好きなものをPRするのってすごく難しいんだなって今痛感しています。
と、いうわけで初めて続きを読む機能を使います。毎週感想書いていきます。
1話 2016.04.12
就活シーン。しんどい。(すだまさんは諸般の事情で内定も蹴り就活リタイアしました)
黒木華さん演じる心ちゃんが鼻をふんふん言わせるのも、目がきらきらするのも、ものすごくかわいいですね。
こういう、かわいらしい女の子があまり女の子らしくない、雄々しい動作をするのがすごくすきです。
それにしても何も前情報を入れずに見ていたので、高田純次さんが興都館の社長だというのにドラマと同じタイミングで驚いてしまいました。
前情報を入れずに見ているとこういうことが起きるので楽しいのです。
ところで三蔵山先生にはモデルはいるのかな?作品は?なんでマンガ好きとしては考えてしまいます。長く漫画家やるって大変なんですね。
最後のかんばらさんの表情も気になるので、今後再登場とかあるのかな、なんて思いました。
たぶんかんばらさんもドラゴン急流好きなんだろうなあ。でも好きなものを好きでい続けるのってやっぱり難しいんだろうなあ。
2話 2016.04.19
ようやく出ました小泉さん。
今時の地味め男子って感じすごいしますね。心当たりがありすぎて胸が痛い。
なんでも理想通り思った通りにいかなくて、それが当たり前になって、だから頑張る気力も萎えてしまう。なんかもう特別に不幸でもないからこのまま適当にやっちゃえばいいやって。
だから、私もドラマ見てるとこのままでいいのかなって考えさせられます。
このドラマのみんな、仕事が好きで、一生懸命で、がんばってて、キラキラしてて。こうなりたいなあ、って思うけど、思ってるだけの自分が嫌になる。
こんな風にぐぐっと落ち込んじゃうか、このままじゃだめだ、がんばろう!って思うか。そこが分かれ目なんだろうなって思いました。
小泉さんが前者、心ちゃんが後者なんですよね。そしてたぶん私も前者。
だからこそ、岡部長の言葉が胸に突き刺さる。
「自分の立ってる場所がわからないうちは、どこへも行けないと思うぞ」
私の立ってる位置って、どこなんだろうなあ。
3話 2016.04.26
イケメン漫画家……めっちゃ聞き覚えあるな……、としばしテレビの前で微妙な顔をしてしまいました。
しかしこんなパロディだらけの回、ぶっちゃけありなの?ありなんですか?
でも壬生さんと心ちゃんが仲良くしているのは見ていてとても微笑ましいです。ラーメン食べにいくのとか。先輩後輩として一番距離が近く屈託ない関係性を結べてる二人なんじゃないですかね。
とりあえず「まさかのムンバイ」「振り向けばガンジス」はしばらく友人たちとの間で無意味に使いそうです。
あと高畑先生なんで脱いだの。
4話 2016.05.03
今までの重版出来の中で一番しんどかった回かもしれないです。
漫画家になりたい、って一度は思う人っていると思うんですよね。で、それをいつの間にかあきらめて趣味にしちゃう人もいれば、バカにされても無理だって言われてもあきらめずに頑張り続ける人もいる。
とてもきれいな絵を描く、コミティア、同人誌という独特な趣味の世界で完結しようとしてた東江さんと、ずっと一人で商品としての漫画と対峙して向き合って、プロの漫画家を目指し続けてきた、絵のうまくない中田さん。
いやでも正直中田先生の絵は今めっちゃ売れてるとある漫画のデビュー当時の絵よりは普通にうまいんでないの?と思いました。多分道具の使い方を矯正しなおすだけで十分商業誌に載っても遜色なくなりそうな気が。
まあそれは置いといて。
本当にこの二人って対照的ですよね。そしてものすごくリアル。見ていて苦しい。
あとこの二人もそうですけど、10年ずっとアシスタントでくすぶってるムロツヨシさん演じる沼田さんの微妙な表情と、そこから推測される心情を思うと、もう、ほんとうに、ものすごくしんどかった。
ただ78歳で漫画家を目指した古舘市之進さんがデビューして単行本化、そして大ヒットしていたのだけが救いでした。何歳からでもがんばれば始められるし、夢がかなう、かもしれない。
5話 2016.05.10
ストーカーするこぐまちゃん本当にかわいい。なんだかだんだん五百旗頭さんとのコンビもいい感じになってきてませんかね。
元気いっぱい女子とダウナー系穏やか男性という組み合わせはすごく好きです。花より男子のつくしちゃんと花沢類とか。(GW中に再放送やってた)
いやあ、それにしても5話は深かった。そしてつらかった。
「運命を使いこなせ」「魔法はない、だから考えろ」
情けは人の為ならず、ということなんですけども。ここぞというときに勝つために、運命をつかみ取るために、すべての道をそこにつなげるために、一つ一つ行う。すごいなあ、って素直に関心してしまいました。
世の中のミニマリストたちが口をそろえて言う「引き寄せの法則」ってやつなのかしら、なんて思ったり。
それにしても、宮沢賢治の作品がここで出てくるとは思っていなくてびっくりしました。とても好きな作家のひとりです。
やっぱり手元に一冊は置いておきたいな。
6話 2016.05.17
えっもうお正月なんですか。
作中の時間軸が把握できていなくて盛大にビビる。
そして相変わらず荒川さんとこぐまちゃんが仲良しで盛大に和む。色気もへったくれもない仲のいい兄妹みたいな先輩後輩。とてもいい。
そして6年前という設定なのに顔貌まったく変わってないのはそれでいいのか安井編集員。
夢を仕事にするかどうか、というのはみんな一度は悩むことで、そして答えが出ない問題でもあると思うんですよね。
「理想だけで仕事ができる人がこの世にどれだけいるのだろう」
仕事ができる人、ってすなわちつまり成功しなくちゃならないってことなんですよね。
そして好きなことを好きでい続けなくちゃならない。
難しい。
冒険できるところで冒険できるように。賭けられるところで賭けられるように。
そうするためにはやっぱりどこかで堅実に生きなくちゃならない。
そしてやっぱり冒険するにはそれ相応に資金が必要。
お金がほしいなあとしみじみした回でした。
それにしても安井さんかっこいいなあ。
7話 2016.05.24
黒沢さんが元気いっぱいなのとちょくちょくコメディっぽい演出が入るけれど、扱っているテーマってめちゃくちゃしんどいものが多いですね。
過去の栄光しか見えていない父親。それに振り回される母と娘。ものすごく、身に覚えがあってひたすらにしんどかった。
それから夢を追い続けて追い続けて夢を追うことが目標ではなく習慣になってきてる沼田さん。もう本当に、しんどい。
「いつか○○になったら」「いつか××できるようになったら」「いつか」「いつかいつか」「いつか」
そう言い続けてもその「いつか」は自然と向こうからやってきたりしないんですよね。
現実を受け入れて一歩進んだ沼田さんと、夢を見続けて現実から目をそらし続けてきた結果何もかも崩れて壊れて失ってしまった牛露田さん。
どっちも比べられないくらいしんどいし、悲しいし。でも生きていく上でどこかで何かをあきらめたり、妥協したり、踏ん切りつけたりしなくちゃならない。
みんな一人ひとり特別ではあるけれども、世間に、社会に認められるほど特別を発揮できる人間は一握りしかいない。
夢だけ追って生きていけるほどやさしくなんかないんですよね。
あと中田さんの危うさがようやくはっきり作中で描かれるようになって大変心配です。
8話 2016.05.31
重版出来でこんなにぼろぼろ泣いたの初めてかもしれません。
アユちゃんとお母さんの話。河さんとるうるう先生の話。もう後半20分くらいひたすらに泣いてました。
「私たちはみんな見えない羽を持っている」
「立派な羽に育てたかったら、本をたくさん読みなさいって」
「本の形は鳥の形」
「読めば読むだけ、強くてしなやかな羽になる」
「そうすれば、どこまでも飛んでいける」
ああ、この言葉、一生忘れないようにしようって、思いました。
自分の仕事にプライドを持ってる河さん、本当に素敵です。
たった一冊の本が、何千人、何万人、何百万人という人の手元に届いて、心に届いて、その人の人生全ても変えてしまうかもしれない。本って、やっぱりそういう力が形になったものだと思います。
それにしても中田さんと大塚さんの対比がしんどいですね。来週も大きく動きそうです。
あと五百旗頭さんほんとうにかっこいい。大好きです。
9話 2016.06.07
先週めちゃくちゃぼろっぼろに泣いたからか、今週は比較的心穏やかに見ることが出来ました。
ただ五百旗頭さんがバツイチなのと、中田さんが見つけたヒロインにはびっくりしましたが。
特に後者。「あっ!?そう!?そこなの!?」って。
てっきりわたしは梨音さんだとばかり予想していたものでして。
もしくは普通に心ちゃんをヒロインに据えるのだと。
でも心ちゃんのことは大好きでも漫画のヒロインとはちょっと違うって言いきっちゃうのは、なんというかさすが中田さんだなって安心しました。
あと高畑先生もね、素敵でしたね。
「こぐまが泣くから伝えるな」って、それは黒沢さんが望んだ形ではないにしろ、"読者"として大切にしているってことですし。
でも黒沢さんのこと編集者として認めてないってことで、まだ黒沢さんは担当編集者になれてないってことで。ちょっと途中までは心中複雑でしたよね。
最後は丸く収まってよかったですが。でも梨音さんとは寄りを戻せるんでしょうか。実は高畑先生との組み合わせとかめっちゃ好きなんですよね。
それにしても、中田先生の人生が多分めちゃくちゃ壮絶そうで見ているだけでつらいです。
「生きててよかった」「生まれてきてよかった」って、多分初めて思ったんだろうなあ。
10話 2016.06.14
先週のドタバタによって、高畑先生はちゃんとこぐまちゃんのこと「編集者」として見るようになったんだなあとしみじみしました。
結構予告からしてしんどそうだったので始まりがほっこりしてて安心半分不安半分。
中田先生の言い分も、こぐまちゃんの言い分も、どっちも気持ちはよくわかる。ただ中田先生のそれはもうすでにお仕事でもあるから、今までのように100%自由にできるってわけじゃないのがちょっと辛い。
自由でいなくちゃならないところと、自分の以外のことも考えなくちゃいけないところ。それをわきまえなくちゃならない。
「好きなことを仕事にするのは正しいのか」っていう永遠のテーマに対しての一つの答えですよね。
「仕事」そのものに付随してくるややこしいことや煩わしいこと全てに、その「好き」という気持ちだけで太刀打ちできるのなら、仕事にしてもいいのかもしれない。
けれど、そのややこしいことや煩わしいことに振り回されて、「好き」って気持ちがぶれてしまうのなら、やめておいたほうがいいのかもしれない。
でも、自分の思ってる以上にその「煩わしいこと」が強大だったりするから、自分の好きなことを仕事にするってすごくむずかしい気がする。
とりあえずメロンヌ先生は通常運転でめちゃくちゃ安心しました。
ただちょっとオチが弱かったかなって思うんですけれども。
結局バイブスはエンペラーを倒せたんですか!?小泉さんの淡い恋心はどうなったんですか!?
いや、でも原作が連載中だからどうにもできないのかな!?
毎週面白く見ていただけにすごく残念!!
とりあえず全話通してのトータルの感想でもあとで別記事にまとめます。